夏の魔法は溶けなかった

f:id:poudredefee:20190809215232j:image

 

ここ数日ふと私の心にやって来て

そうかと思えばいつのまにか去っているそんな感情がある。

 

それはまるで夕立のように、ある日突然なんの前触れもなく私に降ってきた。後に残るのは雨上がりの清々しい青空と、湿気の中に漂うあの独特な雨の匂いのような、複雑な感情。

 

いったいこの感情がなんなのか、どこから来たものかわからない。

ただひとつわかることは、この感情を持っていても私は幸せにはなれないということ。

私どころか、私の大切な人たちも。

だからこれは早々に捨てなくてはならない感情だ。

 

捨てなくてはならないとわかっているのに。

危ないものに手を出したくなってしまうが人の性なのだろうか。

魔法みたい。

 

正体を掴めない魔法の解き方なんてわかるはずがない。

 

どうしたものか。

 

きっと夏のせいなのだろう。

この堪え難い暑さと、情緒不安定な空模様と、夏特有の高揚感のせいだ。きっとそうだ。

  

f:id:poudredefee:20190809220501j:image

 

解き方が分からないのだから、いっそ夏の暑さで溶けてしまえばいい。いつのまにかひとまわりも、ふたまわりも小さくなっていたかき氷を見て思った。

 

でも今日も、夏の魔法は溶けないまま。